デイリーMoccoly

なんかいる!

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先日とあるモスの2階でお茶をしていたら、階段付近でチビッコ男子がこちらを見ていた。

前髪がきれいに整ったオカッパ頭の可愛いそのチビッコに手を振ると、同時に向こうも手を振ってきた。
おっ!可愛い!
よしよし遊んでやろうじゃないか。
と手を振ったり隠れたり、私達は少し離れていたが、しばらく2人で楽しんだ。

やっぱりチビッコは自然体でいいよなァ。
とほのぼのしていると、突然そのチビッコが下にいるお姉ちゃんに叫んだ。

「ねぇ!なんかいるよ!」

えっ!なんかいるって私の事?
今まであんなに楽しく遊んで絆を深めたのに、「なんかいる」って…誰かいるじゃなくて「なんかいる」って…私は人間扱いされてなかったのか…。
じゃあ私って一体何…。
動揺する私をよそに更にチビッコは

「ねぇ、ねぇ!早く来て!なんかいるから。ほらあそこになんかいる!」

と叫びながら私を指さした。

ちょっとちょっと!あんまり何度も大声で「なんかいる」という言葉を連呼するんじゃない。
そして人間じゃなくて「なんか」でも指を差してはいけない。

私はまわりのお客さんが気になったが、誰一人としてチビッコの言葉を聞いてないようだった。
もしかして聞いてるけど無視してるのかも…。
私がまわりのお客だったら絶対気になるんだけど。。。

まァとにかく適切な言葉がまだ分からず「なんかいる」になってしまったのかもしれない。
そうだ。そうに違いない。
と自分で自分をなだめていたら、お姉ちゃんが階段をのぼってきた。

「ほらね。あそこになんかいるでしよ。アハハハ!」

とチビッコは嬉しそうに笑った。
これはどうやらボキャブラリーが足りない訳でも無さそうだ。
お姉ちゃんは「なんかいる」の「なんか」の正体が私だと知って困惑していた。
しかしお姉ちゃんと目が合った私はもっと困惑した。
だがもう笑うしかない。
そしてお姉ちゃんにも手を振るしかない。

だって私は、男でも女でも妖怪でもロボットでもない「なんか」なのだから…。

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