デイリーMoccoly

マリコの思い出

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亀有駅前にラーメンのチェーン店「日高屋」が出来た。
近頃日高屋を良く見掛けるが、そんなに美味しいだろうか。
以前新宿で食べた事があるが、良くも悪くもない中途半端な一番たちが悪い味だった。
日高屋が出来る前ここは「マリコ」という紳士服屋だった。
紳士服というと聞こえがいいが、チンピラが着てそうないかにもヤクザな趣味の洋服屋だった。
白地に大きな虎の刺繍がしてあるセーターや、金の縄みたいな模様のテカテカのシャツなどが、1枚2万とか3万とかで売られていた。
こんな大金はたいてまで、一体誰が買うのだろうか…。
でもこういう趣味の人にとっては、心ときめく店だよなァ。
もしカタギの人が買ってしまったら、確実にチンピラに絡まれるだろうなァ…。
店を通る度に私はいろいろな妄想して密かに楽しんでいた。
私は意外とというか、かなりこの店が好きだった。
こんな店、浅草や大阪のかなりディーなプ路地裏に行かなきゃ滅多に無さそうなのに、亀有の駅前に何十年も堂々と当たり前のように存在していた事が誇らしかった。
マリコっていう名前も好きだった。
ちなみに発音は「真理子」のような下がるイントネーションではなく、「まりも」のような上がるイントネーションだ。
マリコが閉店セールを開始した時、私は動揺した。
無くなるなんて考えられなかった。
最近あまり売れないから、きっと閉店セールという張り紙を貼って、この先一生半額にしていくんだ。
と真剣に思っていた。
しかしマリコは日高屋に姿を変えた。
日高屋は無駄に目立つ。
亀有駅前は一瞬にして何の情緒もなくなってしまった。
日高屋の少し先には紳士服のコナカが出来た。
亀有でラーメンならば「一番」、洋服ならば「コニー」があるから、チェーン店は無くてよし!
もうこれ以上亀有をおびやかさないで欲しい。
どうかそっとしておいて下さい。

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