私はダンサー
金曜日、鹿児島に向かう機内で初めて急病人と遭遇した。
突然ドラマや映画で良くある、「急病のお客様がいます。お客様の中にどなたかお医者様か医療関係の方がいらっしゃいましたらお知らせ下さい。」
というあのアナウンスが聞こえた。
たまたま乗り合わせた医者2名が素早い対応をし、到着する頃には急病人はすっかり良くなった。
一見何てない2人のおじさん医師が、正義のヒーローに見えた。
正義のヒーローをまのあたりにした私は、何だか凄く感動した。
そしてただそれを見ているだけの自分の無力さにガックリした…。
医者以外の人は何も出来ないから仕方ないのだが、それにしてもただボケっと見ているだけなんて、同じ人間なのにあまりにも違い過ぎる。
人の生死に携わる仕事の底力を改めて感じた。
私は自分の仕事を誇りに思っているが、この時は久しぶりにいろいろ考えた。
ダンスは人を元気にさせる事は出来ても、このような状況ではどうにもならない。
例えば「精神的に病んでるお客様がいらっしゃいます。
どなたかヘンテコダンスが出来るお客様がいらっしゃいましたら、お知らせ下さい!」
というなら、少しは私も役に立つのに。
しかし今この状況の中で私がダンスをしても、ただの邪魔者だ。
ダンスって…ダンスって…ダンスって一体…。
私は頭の中でグルグル考えた。
もっとダンスで人の役に立ちたい!
そんな気持ちで鹿児島に到着し、無事ダンスクラスを終え、次の日ライブでお世話になるお店、「T-BONE」に行った。
するとちょうどその日はマスターの奥さんのみほさんの誕生日だった。
何も知らずに手ぶらで行ってしまった私は、1曲即興ダンスのプレゼントを送らせて頂いた。
みほさんをはじめ、誕生日会に来ていたお客は皆凄く喜んでくれた。
ああ、私はやっぱりダンサーで良かった。
機内では何も出来きず悶々としていたが、「T-BONE」で私の気持ちは一気にスッキリした。
私は世界でただ一人のMoccolyというダンサーなのだ。
※写真は「T-BONE」のマスター&みほさん。
私の隣はお馴染のモッコロウ先輩。