落ちないキャップ
自販機でたまたま購入した水が、落ちないキャップのペットボトルだった。
前にテレビでやっていた新開発商品だ。
市場調査をした結果、電車でペットボトルの飲料水を飲む際、キャップが落ちると拾うのが大変だし衛生的に良くないから、キャップが落ちないようになるといいなァ。
という意見が多数あった為、この商品が開発されたようだ。
それにしたってこれはやり過ぎ!
ここまできたら過保護以外のなにものでもない!
こんなにいたれりつくせりになったら人間は危機管理能力がゼロになって確実に後退していくに違いない。
おーい!みんな!平和ボケになってはダメだぞー!
踏まれても踏まれても、逞しく生きる雑草の如く力強い生命力で日々前進すれば、光輝く人間になれるんだ!
車内でキャップが落ちるぐらい何だ!
落ちないように気を付ければいい話だ。
仮に落ちたとしても、サッと拾えばいい話だ。
もしもサッと拾えなくても、サッと拾えない自分を知ればいい話だ。
更にキャップが遠くに転がって全然拾えなかったら、この飲料水とは相性が悪かったのだとキャップの事は諦めればいい話だ。
諦めていた矢先に誰かに拾ってもらったら、いい人がいるなァと感謝すればいいし、誰かに踏まれたら、あっ踏まれたなァと思えばいい話だ。
キャップが落ちた事によって、自分がどう行動し、どう感じるか、いろいろ発見が出来るのだ。
自分探しの旅に多額の費用と期間を費やして海外まで行かなくたって、自分の全ては車内でキャップが落ちた時に分かるのだ。
だからいつか、キャップよ落ちてくれて有難う!
と思える日がやってくる。
全てのペットボトルのキャップが落ちないようになってしまったら、今度は、キャップを落ちないようにするのはやめて欲しい!
という意見も出てくるに違いない。
人間は無いものねだりをする生き物なのだ。
キャップは落ちても落ちなくてもどっちでもいいし、どっちでも不満という事だ。
若者諸君!車内でどんどんキャップを落として、どんどん自分を知ろう!